スノーボードではいくら高性能な板やビンディング、ブーツを揃えたとしても、自分のレベルやスタイルに適した正しいビンディングのセッティングを行わないと最高のパフォーマンスを発揮することができません。
しかし実際に初めて板やビンディングを買った初心者の人は、どのような角度やスタンス幅でビンディングを取り付ければいいのかわからないですよね。
私も15年以上のスノボ経験がありますが、何度も試行錯誤してきました。
そこで今回は、私が実際に何度もビンディングのセッティングを繰り返してきた経験から、ビンディングの正しいセッティング方法を画像つきでわかりやすく解説します。
- ビンディングの調整方法
- スタンス幅と角度の決め方
- スタイル別のおすすめのセッティング
スタイル別におすすめのセッティングも解説しますので、ビンディングのセッティングに迷っている人の参考になれば嬉しいです。
スタンス幅・角度の重要性
スノーボードにおいてビンディングのセッティングは非常に重要です。
ビンディングの角度やスタンス幅が変わるだけで、板の操作性やトリックのしやすさ、滑り心地、安定感などが大きく変わり、たとえ同じ板に同じビンディングを取り付けたとしても、まるで違うボードに乗っているかのように感じます。
僕もプレイする滑走スタイルによってセッティングを調整します。
正しくビンディングのセッティングができていない状態では、板のコントロール性やライディングの快適性が下がるだけでなく、スキルの上達スピードも遅くなる可能性があります。パフォーマンスを最大に発揮するためにも、自分のやりたい技や目指す滑走スタイルに適したセッティングにする必要があるんです。
ビンディングの取り付け・調整方法
ビンディングは自分の足(ブーツ)とボードを繋ぐため接点となるギアです。
左右の足でそれぞれ別々に取り付ける必要があり、角度やスタンス幅も自由に調整することが可能です。
ビンディングの取り付け方法はとてもシンプルで簡単です。
ビンディングの部品・センターディスクとは?
ビンディングにはセンターディスク、ビス、ワッシャーが付属しており、ボード側のネジ穴と固定します。
センターディスクとは、板とビンディングを固定するためのパーツです。ディスクの穴と板のネジ穴を合わせて、ビスとワッシャー(通常片足4本ずつ)を穴に通しドライバーで締めることで固定させていきます。
ビンディングまたはセンターディスクには、よく見ると角度を表す数字が書かれているので、これによって角度を調整することができます。
取り付け方法
ドライバーを用意してね
まずビンディングを固定するための4つのネジ穴を決め、センターディスクを外した状態のビンディングを上に持っていきます。(この時は大体でいいです。)
スノーボードのブランドやモデルにもよりますが、基本的にネジ穴は左右の足でそれぞれ12個ずつ付いており、そのうちの4個(片足)を使ってビンディングを固定します。
固定するネジ穴によってスタンス幅が決まります。
(スタイル別のスタンス幅の決め方は後述↓)
センターディスクを上から嵌め込んでビンディングの角度を微調整し、ビスとワッシャーで固定します。
スタイル別の角度の決め方は後述↓
最後にセンターディスクのカバーをつけて取り付けは完了になります。
スタンス幅の決め方
スノーボードにおいてのスタンス幅とは、左右のビンディング間の長さ(距離)のことです。
このスタンス幅の長さを狭くしたり広くしたり調整することでスノーボードの操作性や乗り心地が大きく変わるので、自分がやりたい技や目指す滑走スタイルに適したスタンス幅に調整する必要があります。
スタンス幅は肩幅くらいが基本
スタンス幅は一般的に、自分の肩幅くらいが基本とされています。
スノーボードの動きはヒザの屈伸運動と旋回動作が中心。進行方向の変更やジャンプなど様々なトリックは、両ヒザの柔軟な動きができてこそ生まれます。
両足が肩幅くらいの位置が人間の最も自然な立ち方であり、屈伸運動や旋回動作を無理なく行うことのできるスタンスです。
無理なく屈伸運動や旋回動作ができるか試してみてください。
だから初心者の人が初めてスタンス幅を決める時は、「肩幅くらいにすると良いよ」と言われることが多いです。
ただし、これはあくまでも基本のスタンス幅であり目安です。やりたい技や滑走スタイルによっては肩幅よりも広くしたり狭くした方がやりやすくなる場合もあります。
個人の体格や足の長さなどによっても変わるので、適度に調整しながら自分にベストなスタンス幅を見つけていくことが重要になります。
スタンス幅を広くした場合
スタンス幅を広めにした場合のメリットは、安定感が増し板の取り回しが良くなることです。板を回転させたりプレスして浮かせたりするトリック重視の人はスタンス幅を広めにセッティングすることがおすすめです。
デメリットとしては、ヒザや腰に負担がかかりやすくなることです。スタンス幅を広げることで必然的に重心も下がり腰を落とした状態になるので、ヒザのクッション性が下がり衝撃を吸収しづらくなります。
- スタンス幅を広くするメリット
-
- 安定感が増す
- 板の取り回しが良くなる
- 操作性が上がる
- スタンス幅を広くするデメリット
-
- ヒザや腰への負担が上がる
- グラトリ
- パーク
- フリーラン
以上のようなスタイルを磨きたい人は、スタンス幅を広めにセッティングするのがおすすめ。
スタンス幅を狭くした場合
スタンス幅を狭めにした場合のメリットは、ターン時のエッジングがしやすくなることです。また、ノーズとテールが長くなるのでボード全体がしなりやすくなり、パウダー時の浮遊感も上がります。
デメリットとしては、重心が高くなるのでバランスが取りにくくなり、ボードが長く感じるので慣れないうちはコントロールが不安定になります。
- スタンス幅を狭くするメリット
-
- ターンのキレが増す
- 板がしなりやすくなる
- 浮遊感も上がる
- スタンス幅を狭くするデメリット
-
- 操作性が下がる
- カービング
- レース
- パウダー
以上のようなスタイルを磨きたい人は、スタンス幅を狭めにセッティングするのがおすすめ。
角度の決め方
ビンディングは左右の足でそれぞれ独立しており、左右それぞれで自由に角度を決めることができます。(右足と左足で違う角度になることもあります。)
この角度を進行方向に対してどのくらい傾けるかによってスノーボードの乗り心地や操作性が大きく変わるので、自分の目指すスタイルに適した角度に調整する必要があります。
角度の表記
スノーボードにおいてビンディングの角度は、進行方向に対しての角度で表記され、ビンディングの向きを進行方向に向かって真横(直角)に設置した場合が、0°になります。(後ろに向くと-マイナスがつきます。)
ビンディングの角度は『f12 b5』というように表記されることが多く、この場合は進行方向に向けて前足が12°、後ろ足が5°傾いているという意味になります。
- F = Front(フロント)は前足
- B = Back(バック)は後ろ足
角度を進行方向に傾けるほどどうなる?
ビンディングの角度は、基本的に進行方向に傾けるほど身体が前を向き、肩が開きやすくなるのでターンがしやすくなります。また、膝を曲げた際に足をしっかりとボードに踏み込むことができるので、高速での滑走時にも安心感と安定感が生まれます。
デメリットは板の取り回しやすさがダウンすることです。角度を進行方向に傾けるほど、板を回転させたり、スイッチスタンス(後ろ足と前足の切り替え)でのトリックなどは違和感が生じ、難しくなります。
- 角度を進行方向に傾けるメリット
-
- ターンがしやすくなる
- 高速での滑走でも安定する
- 角度を進行方向に傾けるデメリット
-
- 板の取り回しやすさがダウンする
- スイッチがしにくくなる
- カービング
- レース
- パウダー
- フリーラン
以上のようなスタイルを磨きたい人は、スタンス幅を狭めにセッティングするのがおすすめ。
角度をあまり傾けない場合(0°付近)
ビンディングの角度をあまり傾けない場合(0°付近)は、ターンのしやすさや高速滑走時の安定性はやや下がりますが、板を回転させたりプレスして浮かせたりするトリックがしやすくなるなど、板の取り回しが良くなります。
特に突出した特徴はないですが、フリースタイル系からカービング系、パウダーランまで幅広いシチュエーションに対応できるので、オールマイティにどんなスタイルでも滑りたいという人は、0°付近のあまり角度を傾けないセッティングがおすすめです。
ダックスタンスとは?後ろ足を-(マイナス)方向に傾ける
ダックスタンスとは、後ろ足のビンディングの角度を進行方向とは逆(テール側)に傾けたスタンスのことです。
ダックスタンスの1番のメリットは、スイッチスタンス(後ろ足と前足の切り替え)がしやすくなることです。板の前後を入れ替えたり板を回転させることの多いグラトリやフリースタイル系トリックを磨きたい人は、ダックスタンスはおすすめです。
デメリットは、両ヒザが外側に向くので立ち方がややガニ股になり身体の旋回動作にも制限が生まれるので、ターンやエッジの効いたカービングはやや難しくなります。
- ダックスタンスのメリット
-
- スイッチスタンスがしやすくなる
- 安定感が増す
- ダックスタンスのデメリット
-
- 身体の旋回動作(捻り)がしにくくなる
- グラトリ
- パーク
- フリーラン
以上のようなスタイルを磨きたい人は、ダックスタンスがおすすめ。
従来までは両足とも進行方向(ノーズ側)に向いているスタンスが基本でしたが、最近では後ろ足のみをテール側に向けるダックスタンスが多くなっています。
まとめ
今回はビンディングのスタンス幅と角度について解説しました。
スノーボードを何年も経験していても、自分に最適なスタンス幅と角度を見つけるのは難しいです。板やビンディングが変わることでベストなスタンスも変わったり、その日のライディングスタイルによっても変えることもあるので、何度も試行錯誤しながら調整していく必要があります。
自分のパフォーマンスを最大に発揮しスノーボードスキルを上達させるためにも、ビンディングのセッティングは非常に重要です。なのでスタンス幅と角度は『どう変えればどういうメリット・デメリットになる』という大まかな傾向ぐらいはぜひ覚えておいてください。
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